中島省三のエッセイ

百日紅

2011/08/23

真夏の湖岸を自転車で走っていて暑さが堪らないと思った事はない。少なくとも琵琶湖の水面で冷やされた風が吹いて来るからだと思う。そんな風を受けて自転車から見る光景を毎日楽しんでいる。今年の浜大津港のサルスベリの花は特に美しく感じる。青空に映える赤い美しい夏の花を見ていると何故人は春の桜のお花見はするがこの美しいサルスベリの花の下で花見をしないのかと思う。冷えたビールでも飲みながら夏の花見も風流ではないかと・・・・・・夏が過ぎ去ろうと準備している今も百日紅の花はさいているさすが百日・・・・・・

花火

2011/08/23

八月八日 僕は夕食後ごろんと寝転がりテレビを見ているとドーンと大きな音と共に家が身震いした。今日はびわこ大花火大会。開始を知らせる二尺玉の破裂音だ、その音に誘われた訳ではないが久しぶりに三井寺の観音堂へと向かう、混雑する湖岸を避け花火を高みから見物しようと考えた。石段を上がると寺院関係の人や近くの人が見物に来ていた。以前と比べても人は少ない、湖岸に高い建物が出来たせいで湖面が見えないからだ。よく見える展望台へ上がると花火は思っていたより良く見える。例年は花火の終わる十分ほど前に家を出て疎水の近くの湖岸から見物していたが今年は空を見上げる事もなく目線は水平で花火を楽しめる。以前見た花火より色彩が豊かになり綺麗に感じた。以前は何だ花火かとどこから見ても同じさと興味の無いふりをしていたが今回は素直に花火が美しいと思った。でも湖岸に林立するビルが湖面を遮っているいまさら風景条例なんて意味あるのかと、そして琵琶湖の北方には若狭湾の原発群があることを考えるとこの先何年びわこ花火大会を楽しめるのかと考えると全身に寒さを感じた。

玉虫とアリ

2011/07/19

三井寺の境内を歩いていると砂利の上でキラッと輝く光が僕の目に入った。近づくと玉虫はじっとしている。よく見るとアリが玉虫を食しているではないか、美しい玉虫を人は食した事があるのかと、そして美味しいのだろうかとアリに聞いてみたくなった。アリは目があまり見えないので舌で、いや触角で美しい玉虫を味わっているのだろうかと考えながら境内を散歩した。

ひまわり

2011/07/13

梅雨明け間じかの湖岸を自転車で走っていると大きなヒマワリの花が咲いているのが遠くからでも見えた。写真を撮るため近くに行くと少し盛りは過ぎているが大輪の迫力のあるヒマワリの花が迎えてくれた。花を見ながら映画ひまわりのラストシーンでスクリーンいっぱいに美しいヒマワリの花畑が映し出されたの想いだして感動している間もなく福島の原発事故で人の住めなくなった土地でヒマワリの花が埋め尽くしている風景が僕の脳裏に浮かび上がってきた。そのヒマワリ畑の広さといえば映画で見たヒマワリ畑の何百倍もの広さには美しいヒマワリの花が咲き、その後方にはまだ収束の兆しの無い福島原発がまだ煙を出している。誰一人ぼくの視界には入ってこない超現実的な風景が広がっている・・・・デジカメの画面には大輪のヒマワリの花が写っているのを確認した。

ドクダミの花

2011/06/22

東京の友人Yさんから絵手紙が届いた。美しい白い十字の花、ドクダミが描かれていた。以前京都の友人からドクダミの白い花が好きだと言っていたのを思い出した。散歩で歩く三井寺の境内では今紫陽花は目にするがドクダミの花は見落としているのか見る事がない。買い物の道すがら空き地の隅っこでバイクを覆い隠す勢いで咲いているのを発見、あらためて植物の強さを、そして人類の築いた文明なんて何れ植物に覆われて青い美しい地球に・・・現在日本では原発の事故で何時収束するか判らない状況を見ていると戦争や原発で発生する死の灰の放射能は半減するのに何十万年といや何百万年とも言われている人類だけに迷惑をかけるのならまだしも地球上あらゆる生物や植物に影響及ぼす危険なものなど直ぐにやめるべきと思う。四十数億年の地球の歴史から見れば・・・・よく映画等で地球最後の日とかそんな映画が多く作られたが、考えてみれば人類最後の日があってから後地球はまだ何十億年と存在して行くだろうと今日ほどドクダミの花が美しく力強く感じたことはなかった。

TOPページ前ページ次ページ

-Topics Board-Skin by Web Studio Ciel- Admin

× 閉じる