仕事の準備
2009/10/30
僕は,何々の準備と言う言葉が好きだ。詩では藤本直規さんの別れの準備、映画では黒木監督の祭りの準備、等は特に気に入っている作品だ。仕事の準備は作品の話ではない、今我が家はリフォームの最中である。仕事を請け負ってくれた知人の太田工務店より差し向けられた大工さん見座田さんの仕事に対する姿勢について、僕自身が感心したり見習うことの多さを感じる日々が続いている。見座田さんの仕事の手際良さもさる事ながら仕事を終り帰り際に整理、整頓は言うに及ばず掃除の綺麗さに感心させられた。大工さんに僕は大変ですねと言うと、明日への準備だと言われた、今日、掃除と整頓をしておけば明日、仕事を始める時、即仕事に掛かれるとさりげなく話された。僕はなるほどと思う前に自分の準備のたらなさに恥ずかしくなった、おもえばゆきあたりばったりの人生、しかも迷惑掛け放題せめてあの世に旅立つ前に身の回り、もちろん物の整理、そして心の・・と思うのだが、まずは明日への準備と今日の掃除と、本日も大工の見座田さんは見事に仕事と掃除をされ帰っていかれた・・・・僕も明日への準備と熱燗を準備すべく一升瓶を取りに・・・・・
ビデオテープと落ち葉
2009/10/27
最近また録画したビデオテープを見ずに捨てた一回目は去年に60キログラムそして二回目は30キロ、そして今回は40キログラム、ここ30年間テレビで放送された映画や番組と僕の作品等であるほとんどテープは一度も見ることは無かったと思う.再生する機器はどれも壊れたVHSやソニーのベターマックスも予想以上に弱かった何台も買い換えたあげく製品の修理や販売も中止され見事に価値観をなくした現代の電子機器や電気製品のひ弱さやメーカーの責任感の無さに怒りも消え虚しさだけが残る人間の作った文明などたかが知れたものと思うしかない今の暮らしである。それに比べ自然界は凄い先日リフトやロプウエーイが消えて久しい比良へ登った自分の足でもくもくと歩いてしばらくすると体のリズムが自然と山の空気となじんでくる,滝の水音や草木に触れる風の音、そして鳥の声を聞きながら広谷へと向かった。木岐の紅葉は盛りを済んでいたが結構楽しめた.小さな谷川に眼をやるとなんと落ち葉が金色に輝いて両岸を埋めているしばし脚をとめ見とれているとビデオテープの事が浮かんできた、こちらの落ち葉は今の美しさと英英と続いてきた植物達の宇宙的な時間を感じさせる存在感で圧倒されると同時にこの自然の豊富な空間の中にいる自分を幸せだと感じた。そして文明生活の小さな価値観など落ち葉を見ていると僕の脳裏から消えて行った。
可愛いカマドウマ
2009/10/27
夜も十一時を過ぎもう休もうかと立ち上がり、なにげなく部屋の隅を見るとコオロギがとよく見るとカマドウマではないか去年見たカマドウマよりも小さくて可愛いく感じる,急いで懐中電灯とデジカメを取りに、そして光をカマドウマに当てるとまるでスポットライトをあびて登場するスターの様に見える。長く美しい後ろ足と光沢のある体と黒い小さな目がデジカメの画面に映し出された。画面といえば今年見た映画(ジャージの二人)を思い出した主役を超える存在感でカマドウマが畳の上でしかもクローズアップで迫力ある姿を見た時と同じ喜びを感じた。今いるカマドウマ君に映画のシーンの事を話し掛けたくなった,瞬間あの長い足でジャンプ,僕の視界から消えた、もし昆虫界のオリンピックがあれば高飛びは間違いなく金メダルだろうと・・・・・小さなカマドウマに会えた嬉しさで僕の心が満たされて行くのを感じながら眠りについた。
玉虫に遭遇す
2009/10/19
僕の朝は三井寺への散歩で一日が始まる。雨の日も晴れの日も歩き続けて10年が過ぎた。その間,猿や鹿に出遭ったり時には色んな昆虫も目にしたが今回はあまりの美しさに驚いた。多分玉虫を玉虫と認識して見るは初めての事と思うその虫は観音堂への石段にいた緑色がかった羽や頭は角度により虹のような光沢にまた黄金色に輝いて見える。宝石よりも美しいこんな昆虫がまだ身近なところにいる自然環境があることに喜びが湧いてきた。ポケットからデジカメを出し撮った。光沢のある玉虫を・・・・でも僕の脳裏にはデジカメよりも創造力で美しい羽を広げて秋の空を飛ぶ玉虫が記録された。そして中学生のころの教科書に載っていた玉虫厨子の話が記憶のなかからよみがえって来た。多感な少年期に玉虫に出会っていたら・・・また違う道へと・・・・そんな事を考えながら帰路についた。数日後,同じ場所,石段は数段違いのところで玉虫が仰向けで死んでいたが美しさは変わらなかった。人は悪いたとえに玉虫色を使うが美しいこの昆虫を僕は気の毒に思った。
映画の音
2009/10/12
最近の映画はCGとデジタルサウンドで時代遅れの爺にはうるさくて耳の鼓膜と眼の網膜が故障しかねない 最近リバイバル上映されたビクトル・エリセのミツバチの囁き、とエル・スルーは映像の美しさもさる事 音声と効果音のすばらしさに感心した。 映画、クローンは故郷をめざす では母親が子供を亡くし泣き叫ぶシーンではサイレントで表現され見る側が女優さんの演技をこえた声が創造されたシーンは今も脳裏に記憶されている。この映画も全体的に音を静かにすることで際立って映像の素晴らしさを感じた良い映画だった。何と言っても映像の美しさと水の音やすべての効果音で見事表現された映画 タルコフ・スキーのノスタルジアは僕が命ある限り忘れることはできない名画である。音から映像がそして映像から音か創造される映画を楽しみに待ちたいものである。