空景の琵琶湖

  5月17日、小型ヘリR22で琵琶湖の内湖を撮影するため雄琴のヘリポートをテイクオフした。パイロットは小川さんで安心だ。高度300メートル眼下 には棚田が美しいパターンを見せてくれる。人が自然の流れにそって開発するとこうなるのかと感心する。何枚もシャッターを押す。堅田の内湖はマンションや 住宅に囲まれてしまった。

  琵琶湖大橋をすぎると前方に比良連邦がパノラマのように広がる。雄松崎の内湖は整備され入り組んだ自然の線が消え人工の池に変貌した。綺麗な 湖西の湖岸を眺めながら高島の乙女ケ池へと向かう。白浜は消え161号が走っている。神秘的だった池は釣り堀の様に変わった。広がる田畑は補助整備が進み 直線のラインへと湖岸の曲線と趣を事にしている。安曇川の松の木内湖はかろうじて昔の面影を残している。

  今津の貫川内湖と浜分沼は上空から見ると人工的な公園の池そのものだ。海津を過ぎ高度を600メートルに上げる。前方に広がる風景は 琵琶湖が40万年前のままの姿で原始の美しさとはこ言う眺めなんだろう。残念ながらこの雄大な景色はヘリか飛行機でしか見ることはできない。大浦、管浦そ してつずら尾崎、塩津と入り組んだ湖岸線のナイーブな曲線は官能的なものを感じる。

  竹生島はカワウのフン害で白髪頭の老人に変化した。秀麗な姿に戻れるのは何時の日か。尾上の野田沼、そして早崎の南浦内湖も整備が完 成、彦根の野田沼と曽根沼もあの自然の多く残っていた伊庭内湖も道路で囲まれ直線的な姿に人がこれほど自然を作り変えてもよいものだろうか。疑問を感じな がら下を見ていると西の湖の葦原広がっている。緑のジュウタンを敷き詰めた風景が私の沈んだ気持ち持ち上げてくれた。

  柳川の内湖は撮り忘れ後日地上から訪れた。内湖は道路で分断されていた、でもすこし昔の面影を残していたのがすくいである。数日後私 の家の近くの側溝で数人の子供達がザリガニ取りをしていた。笑顔でザリガニを誇らしげに見せてくれた。幼い頃の思いでがよみがえってきた。省チャンメダカ 取りに行こうか、とおさなじみの声がした。

   2001/6/20  中島省三

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