三井寺

 三井寺の境内を毎日散歩するようになってずいぶんと日がたち習慣になった。総門をくぐり左におれると観音堂への石段が 初秋の射光で輝いている。石は磨り減って、所々に窪みができそこに水がたまり景色を写しこんでいる。一段ぬきで石段を駆け上がると2分くらいで観音堂に着 く、でも息があがりフウフウといいながら展望台から大津市街を望む。ついたての様に浜大津のマンションが風景を遮る。あの広重の描いた展望図の三上山(近 江富士)は見えない。北の方へ目をやると比良山が見える、でもこの眺めも後しばらくだ。西大津駅前に36階建てのマンションが建つ、雄大な自然の風景が展 望できなくなる。残念、石段に目をやると、大きなアリが数匹行き交っている、なんの文明も築かず、何百万年いやもっと地球上に暮らしている、人間の暮らし は文明を築き、現代も便利さを求めてやまない。この地球を食べながら、この先も続いていけるのだろうか。足元にめをやると色づいた落ち葉が数枚石段の上で 秋の流れを知らせてくれた。

2000/10/5