帰り道

 都会からJR大津駅に帰りつくと静けさにホットする。何時もタクシーには乗らず、寂れた大津駅前商店街を下る。午後七時、あまりの人の少なさに時代の流 れを感じる。丸屋町もシャッターを閉ざした店が多く、まるでゴーストタウンのようだ。Y電器屋のSさんがこんな事をいっていた。今から四十年前は買い物客 でゴッタガエシテいたなあ、魚屋の大将がお前自転車で足着かんと丸屋町からナカマチまで行けたら、逆立ちして大津中回ったると言う取ったなあ、そんな事を 思い出しながら商店街をぬけ静かな町並みを行くと我が家が。鍵を開け暗い室内え。もしこの町が賑やかだったら私は落ち込むことでしょう。でも駅から家まで のアプローチが静かで、寂れているから一人暮しの家にたどり着いてもなんの違和感もなくいられるのかな。そんな事を思いながら明かりをつけ、冷蔵庫から赤 ワインをグラスに。映画ヘッドライトでのシーン、ジャン ギャバンがワインを飲むところよろしく、グイットのみ干した。映画も町並みも思いでの中では華や かだ。も うそんな時は帰ってこないのかなあ。

2000/10/18