桜の木

 秋雨が静かに落ち葉の上に降っている。その中でも桜の落ち葉はひときは美しい。一枚として同じ葉っぱは無い。三井寺の 石段に広がる落ち葉を見ていると、美術館に居るような錯覚をおぼえる。NHKがデジタル放送のスゴサを番組のなかで、狩野派の絵のへ入って行ける技術を紹 介していた。でも私はそんなものより絵画よりスバラシイ桜の落ち葉のある石段を一歩ずつ上がって行く現実の方が、デジタル放送より好きだ。それにしても桜 はエライ。春の桜の花で多くの人を楽しませ、秋には落ち葉で人を詩人にしてくれる。私は花よりももちろん秋の落ち葉が好きだ。まだ雨は落ち葉にふりそそい でいる。風で葉がぱらりと落ちた。また私の絵に一枚の葉がふえたもちろん、頭の中の絵に。今日も私は暇なのだ。