秋に、さくらもち

  雨上あがりの三井寺観音堂への石段を登っていると、春の饅頭屋で売られているさくらもちの臭いがしてきた。足元に目をやると雨にぬれた桜の葉が多く重 なって朽ちかけようとしている。まだ中には色鮮やかに赤く美しさ保っている葉を取ろうと身をかがめると、さくらもちを食す時に感じる桜の葉の臭いが晩秋の 風に乗って私の顔をなぜた。時はあたかも食欲の秋。急いで階段を駆け上がり自販機に硬貨を入れコーヒを飲んだ。力餅も食べたいが本日は日銭を使わぬ日であ るから。なぜかと言えば、よく友人から中島さんはよく無駄使いをすると指摘されたのを期会にすこし考えたから。私のお腹がグウッとなった。本日空腹人。で も夢いっぱい。さあ歩こう元気よく、自分に言い聞かせながら。