内視鏡

 7月5日、腸の検査をしてもらうため金沢へ向かった。京都駅からサンダーバードに乗車、山科駅を過ぎながら山トンネルを 抜けると車窓風景の広々とした明るい眺めが私の心に明るさを呼び込んでくれる。琵琶湖の夕景にはまだ早いが、美しく輝く湖面を見ながら心地よい電車のリズ ム音を聴きながら少し眠った。定刻に列車は金沢駅に到着、そしてホテルへ。食事後窓から外を見ると雨、昼間の晴天が嘘のようだ。7日雨、早川クリニックへ とタクシーで向かう。受付を済ませ服を着替え診察を待つ。中島さんどうぞ、の明るい声。早川先生の手際よい応対。のち胃カメラの時下剤がカメラの先端より 腸へ流しこまれる。私は過敏症のためさっそくトイレへ。お腹がからになれば内視鏡の検査。早川先生の声、さあ始めますよ。モニター画面を見ながら横に寝て いる私の肛門からカメラが入る。映画ミクロの決死圏を想像させるS字結腸をカメラが映し出している。先生によると、腸内は人間の臓器の中でももっとも美し いものだと言われるが、赤く美しいトンネル(腸内)を見ていると私もそう思え改めてモニターに目をやる。隊長の声、ポリープ発見、直ちに作業開始。小さな ポリープはなんなく取り除かれカメラは盲腸で折り返し、その時また隊長の声、ポリープ発見。隊長の見事なカメラワークがモニターへ映し出される。画面を見 ていると自分の体内で行われている医療行為とは信じられない。少し麻酔が効いているのか、映画が終わってボンヤリと劇場にいるのかなあ。中島さん済みまし たよと早川先生の声、我に帰る。先生から今日は2つのポリープを採りましたとの結果を聴き一安心。早川先生やスタッフに感謝しながら帰路につく。サンダー バードは京都へ、北陸トンネルあたりから眠りにつく。夢の中で赤い血管が走る腸内をカタン、カタンとリズムを響かせながらサンダーバードは私を体内の奥深 くへ運んで行った。

2001/7/7