サルとコウモリ

 8月27日いつものように三井寺さんへ散歩に出かけた。蝉時雨もやみ少し静けさをが帰ってきた石段を中程までさしかかると、林のなかの叫び声があたりの 静寂をやぶった。辺りを見回すとサルの群が枝から枝へ飛び移ったり地上を駆けめぐっている。可愛い小猿も小枝で戯れている。日本画の野猿図を見ているよう でしばし立ち止まり観察していると、小猿の警戒音でボスザルが私の方へ向かってきた。私は静かに後ずさりしてその場を後にした。山の自然も人間のせいでこ んな人家の近くまでもエサをさがしに山から下りてきているのか。でもお猿さんたちいい顔していたな。そんなことを思いながら家に向かった。その日の夕方疎 水の鹿関橋で空を見上げると、コウモリが乱舞している。疎水のトンネルに生息しているコウモリ達だ。ほ乳類で唯一空を飛べるのはコウモリだけ。羨ましく眺 めていると、航空医学博士の黒田さんの話を思い出した。人間には飛ぶと言う感覚は備わっていないと。だから雲の中の乳白色の中では下がっているのか上がっ ているのかまた傾いているのかも解らなくなり、やがて飛行機は緊急事態へ。これが空間識失調と言われている症状でコウモリや鳥たちには起こらないとのこ と。人間の設計スピードは4キロだと、くれぐれも気をつけるようにと言われた。しかもコウモリは計器飛行までも可能でレーダーを装備。薄暗くなった空でコ ウモリの乱舞は続く。子供のころの遊びでこうもり傘をパラシュート代わりに石垣の上より飛んだのをおもいだした。傘が壊れるほんの僅かの時、たしかに感触 としてフアッと浮いた様な感じを今も覚えている。私は飛行機や熱気球、パラグライダーで空で遊んできました。秋空を見上げると飛行したくなります。玄関の 傘立てに目をやるとこうもり傘がカタンと横に杖を振った。

2001/9/1