夕焼け

 空を見上げると青いキャンバスに雲が絵を描いているようだ。絹雲や高積雲が秋の気配を感じさせてくれる。夏の厳しい暑 さも過ぎ、私は少し気力を取り戻し雲に誘われて撮影に出かけた。陶器のピンホールカメラを自転車に積み浜大津港へ。時間は4時、桟橋には出航を控えた遊覧 船が停泊している。カメラを三脚にセットして構図をきめる。上空に雲があれば最高の写真が撮れるのだが。南西の空に高積雲こちらに流れてくれないかなあと 待つこと20分。なんと遊覧船の上空に雲が。あわててフイルムを装着撮影。約20秒の露光をかけ数枚撮影。気の流れが自然との一体感を私に伝えてくれてい るようだ。6時をすぎる頃西の空が夕焼けの準備を始める。カメラを西の方へ向け私も夕焼けの撮影の準備にかかる。刻々と雲の形や色が変化して行く。まるで 大自然の懐深く抱かれているようなここちよさを感じながらフイルムに5分間の露光を試みた。そして夕焼けの一大ショウは幕を閉じた。私は充実感を抱きなが ら家路についた。数日後現像が上がり、ポジにはあの美しい夕焼けが私のイメージどうりフィイルムに刻まれていた。写真をデジタル加工のため京都のラボへ。 そしてその日の帰り京阪電車が地下を抜け山科駅をすぎる頃、電車の後方には見事な夕焼けが見え壮大なドラマを予感さしてくれる。電車は太陽とは反対方向 へ。大谷駅をすぎトンネルにはいるとわたしは眠りに誘われた。私の耳に車掌の声がアンドロメダと聞こえた。電車は銀河鉄道、私は宇宙へ旅だって行けるのか なあ。

2001/9/4